初心者こそベルティングを極めよう
こんばんは、ボイストレーナーの金子です。
「初心者なのですが、ベルティングを習得するのはまだ早いですか?」
こういった質問をよくいただいたので、
今回はこの質問にお答えしたいなと思います。
確かに、”ベルティングはミックスボイスの応用”みたいな風潮があるので、
「ミックスボイスすら習得できてないのに、ベルティングなんて習得できない」
と思う人も多いみたいです。
事実、いろんな方から
「今ベルティングやったらミックスのバランスが崩れませんか?」
「張り上げ癖がつきそうで怖いです」
などなど、
ベルティングに対してネガティブな質問をチラホラいただくんですよ。笑
ですが僕は、初心者の方こそ
今すぐベルティングの練習をスタートするべきだと思ってます。
初心者の方がベルティングの練習をしても、別に何も危険なことは起きません。
今まで作ってきたミックスボイスのバランスが崩れたり、
張り上げ癖がついたり、
そんな危険なことはまず起こりません。
僕もベルティングを練習していた頃は、まごうことなき
初心者だったわけですけど、
全く問題なくベルティングを習得できました。
ミックスのバランスは保ちつつ、
叫び癖がつくこともなく、
喉を壊したことなど当然一回もありません。
自分で言うのもなんですが、それまでの努力した数年間はなんだったのか?ってレベルで
サクサクとベルティングを習得してこれたと思ってます。
正しいトレーニングを組んでいけば、安全にベルティングは習得できます。
適切なベルティングのトレーニングでは、
安全に地声で高音を出すための喉のパーツを鍛えたり、
それらを上手に動かせるようにしていきます。
たとえば、よく知られているところでいえば、
仮声帯だったり、
喉頭蓋だったり、
喉を吊っている筋肉(喉頭懸垂機構)
などですね。
これらのパーツをきちんとベルティングに使える形で
トレーニングしてあげれば、喉のパーツが勝手に
安全にベルティングするためサポートをしてくれます。
極論、思いっきり叫んだとしても、
安全装置のようにしてこれらの喉のパーツが勝手に作動して、
安全なベルティング発声に導いてくれるようになるんですよ。
だから正しいトレーニングをやっている限り、
逆に張り上げて喉を痛める方が難しいくらいのレベルで
安全にベルティングを習得していけます。
もっと言えば、この講座では身体全身のつながりをうまく使って
楽に地声を出すための仕組みを作っていくので、
さらに安全にベルティングを習得できます。
だからこそ、初心者のうちから効率良くベルティングを習得していくことをおすすめします。
あとこれは、めちゃくちゃ重要なので何度も言ってますが、
ミックスが完成してからではベルティングは習得できません。
大事なことなのでもう一度言いますが、
ミックスボイスを習得してからでは、二度と地声感のある高音では
歌えないのです。
僕はこれまでに数えきれないほど、いろんな人を見てきましたが、
ベルティングを習得する時期を逃して、5年経っても10年経っても
高音の裏声感に悩んでいる人はたくさんいます。
(もちろん習得時期は過ぎてるので、その先何年練習しようと地声感は出ません)
ちょっと想像してみてほしいんですよ。
「ミックスができた!!低音から高音まで楽に歌えるぞ!
そしたら次はどうやって地声感を出そうかな?」
と、ワクワクしながら
彼らは、絶対に習得できないことが”確定”しているベルティングの習得
を目指してゴールのない練習を毎日毎日やってるんですよ。
たとえば昨日も、はじめてレッスンに来てくれた一人の生徒さんも
その一人です。
彼の場合、今までミックスの練習に集中してきたので
僕のところに来てくれたときは
すでに完璧なミックスボイスが身についていました。
低音から高音まで自由自在につなげられて、喉も苦しくない。
何曲でも疲れずに楽々歌える。
そんなミックスボイスとしては理想系の状態だったのです。
(イメージとしては平井堅さんの声をさらに裏声っぽくした
みたいな柔らかい声ですね。)
でも何度も言っている通りで、ミックスを習得してからでは
ベルティングを習得できないわけです。
だから本当に心が痛みましたが、彼をスクールに受け入れることは
できませんでした。
彼がスクールを出るときの寂しそうな背中を見つめながら、
もっと早く彼が、この事実を知っていたらどうなってたのだろう。。
と本当に胸が苦しくなりました。
きっと今頃は
地声感溢れるパワフルな高音と
ホール中に響き渡るような声量で、
太くて男らしい歌声で多くの人を感動させていたことでしょう。
そう思うと、一人でも多くの人が
早くこの事実を知って、初心者のうちからベルティングの訓練を始めてほしいなと願ってます。
ベルティングを習得して、地声感溢れる一生物の高音を手に入れるのか。
ベルティングの習得時期を逃して、一生裏声に毛が生えた高音で悩み続けるのか。
大袈裟じゃなく、それはもう自分次第で選べると思うのです。
これを読んでいる方はベルティングを習得したい人だと思うので、
後悔のない選択をしてくださいね。
それでは、ありがとうございました。
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