二度と歌えなくなった人の話
皆さんこんばんは。ボイストレーナーの金子です。
今回の話は、かなりショッキングな話になるのかなと思います。
というのも、今回は喉を壊して二度と歌えなくなった人の話だからです。
音楽人生が完全に終了した知り合いの話をあえてします。
そんな可哀想な人の話をしなくてもいいじゃないか!と思うひともいると思うんですが、
被害者を増やしたくないので、話すか迷ったんですが、あえて話します。
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すでに参加いただいた方の中で多かった質問に
“喉を壊さないか”が不安”という意見はチラホラありました。
これに対しての答えは、正しいガナリ練習をしていれば
喉を壊すことはありえないです。
安全に、かつ喉を痛めずに楽に発声できるようになっていきます。
(そうじゃなければ、ガナリ発声を使いまくっているアーティストの喉はとっくに壊れています。笑)
が、逆に間違った練習をすれば“一瞬で”喉を壊す可能性を
はらんでいるのがガナリ練習の怖いところです。
それを象徴する話があります。
僕の知り合いに、ロックが大好きな友達がいます。
彼はワンオクやマイファスがめちゃくちゃ好きなので、毎日一生懸命ボイトレしていたんですよね。
ワンオク好きな人なら分かると思うんですけど、彼の発声の特徴の一つに、それこそ「ガナリ」がありますよね。
高音でベルティングと絡めて発声するザラザラっとしたガナリがスパイスになって、
めちゃくちゃカッコいい高音を演出してます。
ガナリ発声はロックの醍醐味みたいなとこ、ありますよね。
で、僕の知り合いの彼もそれに取り憑かれて、ガナリを習得しようと頑張ってたんです。
彼の場合はずっと独学で練習していたんですよね。
まあそれも無理はありません。
彼はかなり歌唱のセンスがあるタイプで、ミックスやベルティングもある程度
独学で形にしてしまった天才タイプです。
僕、今まで4000人以上の生徒さんを指導してきたんですが、
彼ほどセンスがある人ってあんまり見たことないです。それぐらいセンスあります。
だから彼はガナリも当然、ゴリゴリ我流で練習してたみたいです。
ですが、結論から言えば彼は、ガナリの練習を続けた末に喉を壊しました。
今では機能的には復帰しましたが、それでも声帯の表面は歪に歪んでしまい、
明らかに声質が以前と変わってしまったんです。
彼の持ち味だった張りのある男らしい声質は完全に消え去って、
今にも消え入りそうなヨボヨボのおじいちゃんみたいな声質になってしまってます。
冗談抜きで、同一人物とは思えないほどの歌声の変化です。
(もちろん悪い意味での変化ですが。。)
ガナリ発声って、何度も言っている通りで知識ゲーです。
センスがあるとか、才能があるとかで突破できる代物じゃないんですよね。
公式なーんにも知らないIQ150の天才が、数学の問題解けますか?
解けないですよね。
それと一緒でどんなに才能があろうが、ガナリ発声はそもそも発声フォームが特殊すぎて、
感覚やノリでその発声状態まで辿り着くことはありません。
だから、いわゆる天才の彼もガナリ発声だけは習得できずに終わったんです。
で、習得できないだけならいいんですが。
がなり発声の一番怖いところは、彼の実体験からも分かる通り、
間違った方法で練習すると喉を壊す点です。
ガナリ発声でミスると、
二度と元の声で歌えなくなるレベルで喉が崩壊します。
だから、ガナリ発声だけは、絶対に独学や我流でやるべきじゃないし、
それは僕の周りの一流トレーナーやシンガーは全員口を揃えて言うことです。
だってこれ、もしも彼がしっかりとガナリ発声の知識を身につけてから、
練習してたら、間違いなくあっさりとガナリを習得できましたからね。
もちろん、喉を壊すなんてことはなかったんですよね。
今ごろは、余裕でガナリ発声を習得していて、誰かの前で歌えば
歓声が沸くくらい圧倒的に迫力ある歌声を手に入れていたわけで。
彼を見ていて気の毒だと思うとともに、無知って怖いなと改めて思いました。
正しい知識を知っていれば防げたことも、
ただ知らない。
それだけのことで、大袈裟じゃなく音楽人生が狂ってしまうことだってあるわけです。
だからこそ、僕はガナリ発声習得の正しい知識を多くの人に広めていきたいと思ってます。
色々なところで言っているんですけど、正直僕は運が良すぎました。
たまたま業界トップレベルに優秀な先生に出会うことができ、正しいガナリ発声の知識を
習うことができました。
だから凡人で何の才能もない僕でも、最短で効率よくガナリ発声を身につけられたんですよね。
もちろんきちんと練習は継続しましたけどね。
でも脳死で言われた事を言われたままにこなしていただけで、ガナリに辿り着いてしまったので
僕の感想としては「え?ガナリってこんなに簡単なん?」って感じでした。
力強い高音が出ないことにコンプレックスを抱えてましたが、それがガナリ発声で全部解消されたことで
めちゃくちゃ歌うことが楽しくなりました。
周りからも歌唱力を認められるようになって自己肯定感も爆上がりするし、
歌うのが本当に楽しいし、練習も楽しいんですよ。
もちろんこれは自慢したいわけじゃないです。
それぐらい正しい知識の力は偉大だ、ってことです。
正しい知識は地図みたいなものです。
地図を見れば、どの方向にゴールがあるのか?
そのためにはどんな道を通れば最短でゴールにつけるのか?
しっかりと頭で理解できますよね。
ゆえに正しい知識を得て、地図を見るような感覚でガナリ発声に辿り着けます。
これを多くの人は、感覚で「なんとなくゴールはあっちの方かな?」とやるから、どんなに歩いても
ゴールにたどり着けてないわけです。
だからこそ、まずはガナリ習得のための正しい知識をサクッと手に入れて、僕らは
ガナリ発声を安全に、そして効率よく習得していきましょう。
それでは、ありがとうございました。