ベルティング習得のためにやってはいけないこと
こんばんは、ボイストレーナーの金子です。
今回は、僕が今まで10年間ボイトレしてきた中で、
ベルティングボイスを習得するために
「このトレーニングだけは本当にやっておけばよかった、、」と後悔していること
について話していきたいと思います。
▼▼▼続きを読む▼▼▼
今はいろんなボイトレの情報があるわけですけど、
基本的に、「高音を出す方法」だとか、
「声量を出す方法」みたいな、“上達系”の情報がかなり多いと思うんですよね。
ただ一方で「僕こんな失敗しました〜!」
みたいな、リアルな失敗談の情報はすごく少ないと思ったんですよ。
もちろん、「テメーの失敗談なんて興味ないわ!」
と思う人もいると思うんですが、
リアルな失敗から学べることってたくさんあると思うんですよね。
一応、僕の場合は本当に歌が下手な状態から歌唱力を地道に高めてきた
凡人タイプなので、たくさん今まで失敗してきてるんですよ。
だからこそ、皆さんがこれからボイトレをやっていって、
経験する大半の失敗は、経験している(謎の)自信があります。
よくある失敗は先回りして回避策を伝えられるわけですね。
「あ、はいはいそれね〜
それはこういうふうにトレーニングしていけば失敗防げるよー」と、言えるんですよ。
で、それにやっぱりこのLINE講座を読んでくれる人には
僕が失敗したようなことと同じような失敗をして欲しくないと思います。
だってそれだけで5年10年って平気で時間を損しちゃうわけで、
本当にもったいないと思うんですね。
だからこそ今回は僕が今まで10年ボイトレやってきてこれはやっちまったな〜というリアルな失敗と、その対処法を
今回の記事で解説していきたいと思います。
この記事を読みながら学んでもらえると
余計な失敗を防げて、効率良く歌唱力を高められるようになるので
ぜひ最後までゆっくりしていってください。
失敗① 喉上がりすぎ問題
僕がボイトレを始めた頃は、喉を上げてミックス習得を目指す情報というのが
めちゃくちゃ多かったんですね。
たとえばYoutubeでも「ネイネイ(Nay発声)」の動画が
めちゃくちゃ流行ってました。(今もそうかも)
だから当時の僕は本当に「ネイネイ」言いまくってれば、
ある日突然ミックスボイスが自分の喉から飛び出すと信じていたんですよ。w
だからもうね、時間さえあればいつでもYoutube見ながら
平べったい声で「ネイネイ」言ってました。笑
ただその結果、気づいたらだんだん喉が上にギューッと締まる感じが強くなってきて、
それと同時に高音がキンキンした細い高音になっていったんですよね。
分かりやすくいうなら、志村けんの「アイーン」みたいな。
あんな感じのペラペラしたキモ声でしか高い声が出せなくなってきてしまってたんです。
この時は「あ、、終わったな。。」と感覚的に分かりましたね。笑
そして結局、そのまましばらく迷走していたんですが、
先生に教えてもらってからはしっかりと喉を下げていくトレーニングをやって、徐々に高音のキンキン感は
とれていって、力強く深みのある声を出せるようになっていきました。
で、僕がこの経験から学べたことは、
力強く深みのある高音を出すためには喉を下げる筋肉を鍛えるのがめちゃくちゃ重要、ということです。
まず大前提として、力強い高音を安定して出すためには
喉を上げる筋肉と下げる筋肉のバランスがいい事が必須条件なんですね。
【図解:喉周り】
でも僕らは、普段の話し声で喉を下げる筋肉を使わないわけで。
だから喉を上げる筋肉に対して、下げる筋肉の方が圧倒的に弱い人が多いんですよ。
【図解:上に比べて下が弱い】
だからこそ、しっかりと喉を下げる筋肉を鍛えていかなければいけなかったんですね。
ましてや「ネイ発声」なんて当時の僕にはもってのほかです。w
だってあれは喉を上げる筋肉を鍛えるエクササイズですからね。
元から上が強い人がやると即死です。
当然ネイで喉を上げまくっていれば、だんだん喉締めに繋がるわけでして。
高音が苦しくなってくるのは当然の話だったんですよ。
だからこそ、今もし「ネイ発声」に取り組んでいる人は気をつけて下さいね。
今から喉を下げる筋肉をつけていきましょう。
じゃあどうすれば、喉を下げる筋肉をつけられるのか?
というと深いダンディーな声「ハ」を出していきます。
【参考音源:「ハ」で深い声】
めちゃくちゃ変な声なんですが、これを歌に使うわけじゃないので安心して下さい。w
あくまでも喉の筋トレとして、割り切ってやって下さいね。笑
失敗② 声のバリバリ放置
ボイストレーニングを進めていく中で、換声点(声がひっくり返るポイント)
で声がバリバリして悩んでいたことがあったんですが。
ミックスボイスの練習で地声と裏声を繋ごうとすると、
必ず「バリバリ!」といやーなノイズが鳴るので、なんだかなーと思ってたんですね。
ただ当時の僕は「まあ、トレーニングしているうちにバリバリは取れるやろ。
ミックス習得できたら取れるやろ。」
と、特に気にせずトレーニングしてたんですよ。
ネットの掲示板かなんかで、「換声点でのバリバリ感」はミックスボイスの前兆だ!
みたいなことも書かれていたりして、それにも影響を受けてたのかなと思います。
ただトレーニングをやり続けていると換声点はおろか、
話し声くらいの低音域でも声がバリバリしてきたんですよね。汗
さらにいうとその1、2ヶ月後にはただでさえまともに出ていない
hiB以上の高音(失敗①のせいで志村声)まで、バリバリしたノイズが入ってきたんですよ。
つまり低音〜高音まで満遍なくバリバリした状態なってしまったんですね。
いやーこのときも本当に辛かったですね。。
そのバリバリ状態がこれまた3年くらい続いて、あーでもないこーでもないと、
悩み続けてました。
で、そんな時に
バリバリ感の正体=仮声帯(かせいたい)という知識、
をようやく知れたおかげで、徐々に声のバリバリ感は無くなって、高音も出しやすく
なっていったんですね。
この経験からも
やっぱり、声のバリバリ感(ノイズ)は放置したらダメだなと思いましたね。
大抵の場合、声のバリバリ感は
仮声帯というパーツが声帯にバチバチ当たって発生しているノイズなので
根本的に、仮声帯を声帯から離さないと昔の僕みたいに延々とノイズに悩み続けることになります。
【図解:仮声帯と声帯】
しかも、仮声帯が声帯に当たることで、
声帯のコントロールがやりづらくなるので、ミックスやベルティングも一気に習得しづらくなる、
というダブルパンチで最悪な症状です。w
じゃあどうすればいいのか?というと、対処方法としてはハミングがおすすめです。
柔らかい地声で、ニッコリ口角を上げながらハミング。
これをやってみてほしいです。
ニッコリして口角を上げると、生理的に仮声帯が声帯から離れることが研究で分かっているので、
ぜひガッツリ口角も上げていきましょう。
【音源:仮声帯外しハミング】
と、ここまで散々僕の失敗談を話してきましたが、
こんな悲惨な目に遭ったのは誰のせいでもない、
結局ぜんぶ僕の知識不足が原因です。
だってもし、”8年前の僕”が喉を下げる2種類の筋肉を鍛えることが重要だ、
という知識を知っていたら
4年間も喉締めに苦しめられるなんて地獄の日々は余裕で回避できていたでしょう。
あるいは、口角を上げることで仮声帯を声帯から離すことができる、
という知識を知っていれば
もっと早く声のバリバリ感を解消して、スルスルと高音域を伸ばせていたわけです。
こんなのは全部“ただ知っているだけ”で回避できた失敗なんですよね。
こんなふうによく「歌は才能」と片づけられがちですが、実は歌ってただの知識ゲーなんですよ。
知っているか知らないか。
それだけでスルスルと上達できるか
何年かけても歌が下手なままか、が決まってしまうんですよね。
だからこそ、僕は知識を貪欲に学んでいく姿勢だけは
昔から崩さないように気をつけてきました。
たとえば、ボイトレ関係の本はちょっとでも気になるものが
あればAmazonで即ポチってましたし、
他にも、発声関係の論文や教材なども どんなに高額でも
10万円だろうと、20万円だろうと
いいと思ったらガンガン取り寄せていました。
特に海外の教材や論文は、日本でググっても出てこない
最新の情報を学ぶのに重宝していました。
もちろん、当時は大学生だったので経済的には
大変だったんですが、
その時に得た貴重な知識が、僕の喉を大きく進化させてくれたので
いい投資になっていたのかなと思います。
少なくともパチンコに毎月5万円溶かしていた友人よりは
いいお金の使い方をできたんじゃないか、と思っております。笑
その知識があったからこそ、それ以上に“しなくてもいい余計な失敗”をしないで済みましたしね。
少なくとも余裕で5年分くらいの時間はショートカットできたんじゃないかな、と。
やっぱりボイトレにおいて「知識」はめちゃくちゃ大事ですからね。
ただ、意外にも有益な知識はそこらにゴロゴロ転がってるわけでもありません。
だからこそ、それなりに歌えるようになった今でも
決して初心を忘れずに学び続けていきたいですね。
今回は自戒を込めて書きました。
皆さんもぜひ学びの姿勢は忘れないようにして下さいね。一緒にガンガン勉強していきましょう!
それでは、ありがとうございました。
==============
SNS &サービス
==============
・公式HP
当スクール「自由な喉」の公式HPです。
・プライベートレッスン
対面、オンライン(Skype/Zoom)でのマンツーマンレッスンを受け付けております。
・公式Youtubeチャンネル
「自由な喉」をモットーに、着実に歌唱力を高めるためのボイトレ情報を配信しています。